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窓の中の子

子供のころ。「ガラス」といえば、透明な物だった。曇りガラス(すりガラス)は特別な物だった。家の中が丸見えになるのを嫌うときは、習字の紙を貼って目隠しにしていた。子供にとって、ガラスから見る世界は世間に向かって開いた扉の一つだった。台所の横に西に向かって小さなガラス窓があった。駅からまっすぐに通る道が見えた。家族が電車で出かけた時は、ずっと背中を見ていたし、帰る時間にはその窓から帰りを迎えた。西日が眩しいほど入ってくる窓だった。たくさんの人が通勤路にしていたその道も、肝心の工場がなくなっては人通りも少なくなる。新築した時に、その場所はふろ場になり、窓はなくなった。

雨が降っても雪が降っても、小学校に上がる前の私は表通りに向いたガラス窓から、道を歩く人たちをよく見ていた。こちらが気にするほど外からは目立たないものだ。高層マンションに入る人は、わざわざ眺望をすりガラスで遮ることはしないだろう。今回の家も大工が、「ガラスはどうします?」と聞いてきた。私は小さな窓は透明でいいと思っていたが、思わぬ反対があった。言い争うのも面倒で、全て網入りのすりガラスになった。(これじゃ窓を開けないと外が見えない)、という不満は残るが、どうでもいいことの一つだ。全部透明でカーテンでも引けば気にならないと思うのだが、防犯上は中が見えないほうがいいのかもしれない。

窓ガラスというのは、世間に向けた「心の窓」のような気がする。昔の家を知っている私にとっては、全部すりガラスというのは、箱の中に入ったような窮屈さを感じる。

用もないのに玄関前の椅子に腰掛け、前の道路を見るのが新しい日課になった。オープンエアで風を感じ、日光を感じ、匂いを感じる。素晴らしい景色は見えないが、町の「息吹」の一端を感じるような気がする。

by zoofox | 2017-10-29 08:32 | Comments(2)
Commented by memmon at 2017-10-29 10:15
私も同じ考えです。

高層に住んでますので、遠くのマンションから望遠カメラで覗かれない限りカーテンを開けていても大丈夫です。私はオープン主義なのでカーテンを夜になっても開けておきたいのですが、みんなに叱られます。ウチだけ丸見えだぞ!と。
別に見たい人は見てもいいし!とか言って奇人扱いされてます。全部すりガラスは閉じ込められた感はありますよね。

折角ですから、透明な窓も作られたほうが楽しいのではないですか?
Commented by zoofox at 2017-10-29 15:42
まあ、南も北もマンションですし、東と西は母屋と隣の家で、ガラスを透明にするとマンションのベランダの住人と目が合います。不燃化のために、壁が多くなりその分硝子戸や窓が小さくなっています。梅雨のあとから、一階は夜サッシを開けて網戸にすると、濃密な庭の緑の匂いがします。
母屋は三方にベランダがあります。今度の木造も庭に向かってベランダを新設してもらいます。そこに木の椅子でも出しましょうかね。