独りの戯言


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ブーベの恋人

現実を直視したくない表面的に平坦な生活では、思考はちょっとしたものを見つけて、前に前にと遡る。「現実逃避」とか「後ろ向き」とは少し違う。自分たちの将来に向けての計画や希望とは別の問題だ。これからは、政治批判や体制の変更への考えをストレートに表現できにくくなるかもしれない。意識して「自分で自分を護る」考え方も必要になるかもしれない。杞憂ならいいが。

「クラウディア・カルディナーレ(C.C.)」と「ジョージ・チャキリス」の「ブーベの恋人」を見ていた。確か自分は中学生だった。イタリア映画を最初に見たのは「自転車泥棒」だったと思う。戦後のどさくさはどの国にもあった。イタリアは王国がファシストと手を結び、内戦でもう一度共和制に戻る。日本人の大人は当時、「日独伊」の中で最初に手を上げた卑怯者の国と言っていた。日本よりは外国との関係で複雑な歴史を持っている。日本より世界が見えていたのだろう。

子供の頃には分からなかったが、敗戦と革命の二つの出来事が終息した影響が、台詞の中にも出てくる。パルチザン(イタリア語では何というのか)や秘密警察等という言葉がまだ生きている。石造りの町は爆撃の痕を留めている。そんな時代の物語だったのか。グラビアでは豊満な肉体を持つC.C.が、画面では背伸びした可憐な少女に見える。ソフィア・ローレンだってこの頃は若かったはずだ。

同じ本を何度も読んだり、同じ映画を何回も見る楽しみは、自分の変化を知ることなのだろう。活字や定着された映画は変わりはしないのだから。

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by zoofox | 2017-06-18 09:05 | Comments(0)